キーワード
リアルタイムシステム /コンピュータアーキテクチャ / 並列分散処理 / システムLSI / オペレーティングシステム / パーソナルロボット
プロジェクト概要
本プロジェクトは、宇宙機制御用分散リアルタイムシステムに関する研究開発を行っています。 ここでリアルタイムとは処理や通信に時間制約(デッドラインや周期等)があることを意味し、分散リアルタイムシステムではその処理や通信が時間制約を守ることで初めて動作を行うことができます。例えば、あるシステムにおけるモータ制御の処理が時間制約を満たさなければ、そのシステムは正常に動作することができず事故の原因となりえます。さらには宇宙環境で動作する宇宙機システムでは宇宙放射線、振動、熱等による影響下でも動作し続けることが要求されます。 我々は宇宙機の分散制御を実現するために、リアルタイム処理用CPU、リアルタイム通信、メモリ、制御用I/O等を1チップのLSIに集積したSoC (System-on-Chip)、当該SoC、DRAM、Flash、コネクタ等を集積した超小型基板であるSiP (System-in-Package)、及びリアルタイムOS (favor) の研究開発を行っています。 具体的には、高機能な分散リアルタイム制御を実現するsRMTP (Space Responsive Multithreaded Processor)には、リアルタイム処理用プロセッサRMT PU (Responsive Multithreaded Processing Unit) 、リアルタイム通信Responsive Link (ISO/IEC 24740) 、エラー訂正機能付きのSRAMやDRAM IF、各種I/O (UART, PWM, GPIO等)を1チップのSoCに集積しています。RMT PUは、優先度付き同時マルチスレッド実行、各プログラムの速度を制御するIPC制御機構 、コンテキストスイッチのオーバヘッドを削減するコンテキストキャッシュ、割り込みによるスレッド起床機構等を有し、細粒度のリアルタイム処理を行うことができます。Responsive Linkは任意のトポロジーでノード間通信を行うことができ、パケットに付与された優先度に従って各ノードでパケットの追い越しが可能なのでプリエンプティブなリアルタイム通信を行うことができます。 また、sIO CoreはシンプルなCPU、Responsive Link、及び各種制御用I/Oを1チップに集積したSoCであり、比較的単純な分散制御ノードを容易に構築することを可能にします。 これらのsRMTP及びsIO Coreはシステムレベル、アーキテクチャレベル、及びプロセスレベルのディペンダビリティを有すように設計しており、マルチレベルディペンダビリティを実現します。 我々のこれらの技術は宇宙機に限らず、あらゆる分散リアルタイムシステムに応用可能です。
プロフィール
学科: | 情報工学科 |
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専攻: | 開放環境科学専攻 |
職名: | 教授 |
1991年3月 慶應義塾大学 理工学部 物理学科卒業
1993年3月 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程 修了
1996年3月 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 後期博士課程 修了
1996年4月 通商産業省 工業技術院 電子技術総合研究所 研究員
1997年10月~2000年9月 科学技術振興事業団 さきがけ研究21 研究員を兼務
1998年10月 慶應義塾大学 理工学部 助手
1998年10月~2001年3月 電子技術総合研究所 COE特別研究員を兼務
2000年4月 慶應義塾大学 理工学部 専任講師
2001年3月~2003年3月 科学技術振興事業団 基礎的研究発展推進事業 研究員を兼務
2002年4月~2009年4月 独立行政法人 産業技術総合研究所 DHRC 特別研究員を兼務
2004年4月~2013年3月 慶應義塾大学 理工学部 助教授
2007年4月~2008年3月 Carnegie Mellon University, Research Scientist
2013年4月~ 慶應義塾大学 理工学部 教授