慶應フォトニクス・リサーチ・インスティテュート (KPRI)について

K2を拠点に展開されるセンター
慶應フォトニクス・リサーチ・インスティテュート(KPRI)

研究代表者 小池 康博
(所属)新川崎先端研究教育連携スクエア特任教授

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研究目的

慶應義塾から生まれた高速屈折率分布型プラスチック光ファイバー(GI型POF)、超高精細ディスプレイのためのフォトニクスポリマー技術を、産学連携でAI、IoT 時代の世の中に普及させ、新たな未来を創造することを目的としています。

研究内容

近年、AI、IoT 時代の到来によりサーバーやコンピュータ機器において大容量かつ高品質のデータ通信が求められていますが、信号の高速化に伴ってデータを誤りなく伝送することが困難となってきています。現行の多くの通信システムでは、伝送時に生じる誤データを補正するためにFEC(Forward Error Correction)に代表される誤り訂正機能や波形整形回路が用いられていますが、これらの信号処理によって通信システムの消費電力や通信遅延が増大することが大きな問題となっています。KPRIが提案する「エラーフリープラスチック光ファイバー(POF)」 は、上記の通信システムにおける誤り訂正機能や波形整形回路を不要、あるいは低減化するものであり、通信システムの発熱、遅延、コストの問題を解決することができます。また、データセンターの省電力化のみならず、自動車、医療、ロボティクス等における大容量リアルタイム通信への道を切り拓くものであり、次世代情報産業のコアテクノロジーとなることが期待されています。
また、AI、IoT 時代にもう一つ欠かせないのがリアルな高精細映像の実現です。2023年現在、液晶及びOLEDディスプレイ市場は26兆円規模に達しており、今後アジア各国を中心に市場はさらに拡大することが予想されます。しかし、製造コストと性能に関しては電子部品よりもむしろ画質を支配する多くのポリマーフィルムに左右されるといって過言ではありません。KPRIから提案された複屈折制御フィルム(ゼロ複屈折ポリマーフィルムや超複屈折ポリマーフィルム)は、すでに液晶テレビなどのディスプレイに広く採用されています。さらに近年では、よりリアルカラーを実現できるランダム偏光フィルム(Random Depolarization Film, RDF)を提案しています。

KPRIでは、フォトニクス分野におけるポリマーの可能性をそのファンダメンタルズにまで遡って究明し、新しい機能の発現を目指しています。これらの技術が、既存のシステムの延長でも置き換えでもない新たな産業創出を生み出し、ものづくりに根ざした日本産業の再生に大きく貢献するものと確信しています。

研究活動の紹介

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