News Scrap

第3回 K2オープンセミナー

2024.11.20
HRC_Seminar2024.jpg

 これまでの医工連携とは、治療や診断のための便利なツールの提供が主な目的でした。これからの医工連携は疾患や症状に対応して医者と工学者が対話しながら最適な治療法や診断法を研究開発するフェーズに移っていくでしょう。学問としての医学研究では発見活動が、また工学研究では発明活動がそれぞれの基盤となります。これらが両輪となって協調することで新しい医工連携の道が拓かれていきます。本セミナーでは具体例を織り交ぜながらその将来像を探っていきます。

プログラム概要

開催日時 2024年12月20日(金)13:30~16:30
会場 慶應義塾大学 新川崎タウンキャンパス K2ハウス会議室
定員 80名
主催 川崎市(経済労働局) 、慶應義塾大学 新川崎先端研究教育連携スクエア
協力 川崎市産業振興財団、川崎信用金庫
チラシダウンロード

※申し込みは10月15日(火)10時より 

申し込み

挨拶

13:30~13:40
大西 公平
慶應義塾大学新川崎先端研究教育連携スクエア特任教授
ハプティクス研究センター長 




『工学と医学の新時代連携:
次世代の内視鏡下手術機器への期待』

13:40~14:05
古谷 健一 氏
防衛医科大学校 名誉教授・大学医師会顧問

《概要》
 数年間のパンデミックを経て、本邦の医療環境は、いろいろな面で大きく変わりつつあると感じております。一例として、WHOが主導する新感染症に関する国際条約の議論や米国CDC機能の各国への配置など、新規ワクチン承認とともに話題を呼んでいます。一方、手術支援機器(通称ロボット)は、長らく米国製の一社による寡占状況が続いていましたが、最近複数の企業が新たな製品を市場に提供しており、鏡視下手術の世界が再び賑やかになってきました。大変喜ばしい事と感じます。 数年前、小職は米出張中に不慮の事故で大怪我(右上腕・肘関節破壊の複雑骨折)をし、救急病院で緊急手術とICU管理を経験しました。その際、幸いにも米軍が開発した最新の医療機器の恩恵を受け、術後数日で退院・帰国して、周囲を驚かせました。当時まだ稀であった北米型リハビリ療法によって4カ月後には手術にも参加可能となり、ほぼ完全復帰を果たす事ができました。これは、まさに米国の実力を示す例ですが、前述した「手術支援機器」では、「視覚+触覚」、いずれも本邦が他先進国を大きくリードしている分野である事から、是非関係者の方々の協力によって、世界最高レベルの機器を開発していただきたいと願っています。そして、小職が米国で受けた異次元の外傷治療と同様に、新規のロボット内視鏡下手術機器の開発によって、最新医療を国内の患者様に一日も早く提供すべきであると感じています。 こうした取り組みは、次世代を担う若手の外科系医師にとっても、大きな活躍の場となり、同時に多くの患者様の期待にも応えるものと確信しています。 本講演では、小職が経験した患者の立場を通じて、今後の工学と医学の協力の在り方や、社会実装に向けた両者の新連携時代を、皆様と共有したいと思っています。


『"Engineering the extraordinary"
医療機器分野でのイノベーションと日本発リアルハプティクス技術の医療機器への活用に向けた協働』

14:05~14:30
池田 剛 氏
日本メドトロニック株式会社
 ヘルスケアエコノミクス アンド ガバメントアフェアーズ シニアマネージャー 

《概要》
 世界150か国以上の国や地域で、70以上の分野での健康課題に対する革新的なヘルスケアテクノロジーのソリューションを創り出し提供しているメドトロニック社の医療機器・技術のご紹介と、ヘルスケアテクノロジー分野でのイノベーションの動向を紹介し、当社が日本発のリアルハプティクス技術の医療機器への活用に向けた関係機関とのこれまでの協働の成果と今後の挑戦を共有します。

image_ikeda.jpg


『医工連携における発明と発見の循環を促す
モーションテクノロジー』

14:30~14:55
下野 誠通 氏
横浜国立大学 工学研究院 准教授
 総合学術高等研究院 次世代ヘルステクノロジー研究センター長

《概要》
本セミナーでは、力触覚の伝送、記録、編集、再現を可能とする最先端モーションテクノロジーを基盤とした医療機器開発事例について紹介する。具体的には、整形外科領域における脊椎貫通時の瞬時自動停止機能を有する骨ドリル、脳神経外科領域における触覚データに基づいた腫瘍判別機能を有する鑷子、呼吸器内科領域における機器操作エラー評価機能を有する薬剤吸入デバイスなどの試作開発について解説する。学術価値の大きな発見と、新たな産業価値を創出する発明の好循環を促す医工連携のあり方や将来展望について参加者と議論したいと考える。


14:55~15:00

休憩

15:00~15:30

講師の方々による座談会

(モデレーター 大西 公平 氏)古谷 健一 氏、池田 剛 氏、下野 誠通 氏

講師プロフィール

photo_onishi2.jpg
大西 公平
慶應義塾大学新川崎先端研究教育連携スクエア特任教授
ハプティクス研究センター長

1985年電気学会論文賞、1996年精密工学会賞、2001年IEEEフェロー、2003年日本機械学会フェロー、2004年EPE-BEMC Council Award、2004年IEEE Dr.-Ing Eugine Mittlemann Achievement Award、2012年日本学術会議会長賞、福澤賞、2016年電気学会産業応用特別賞・学術賞、内閣府紫綬褒章、2017年電気学会功績賞などを受賞。第102代電気学会会長。現在、日本学術会議会員。主な著作に、"Motion Control Systems" (Wiley)、「「リアル」を掴む!」(東京電機大学出版局)など。

photo_furuya2.jpg
古谷 健一
防衛医科大学校
名誉教授・大学医師会顧問

【学歴】 1979年 順天堂大学医学部卒
【職歴】
1979年  防衛医科大学校(防衛医大) 産科婦人科学講座助手
1988年 IHF(内分泌・生殖科学研究所) Hamburg、ドイツ 研究員
1992年 防衛医大 産科婦人科学講座講師
2005年  同 産科婦人科学講座教授・分娩部長
2006年  同 手術部 部長(兼)
2007年 防衛省特別課程修了(第54期)
2009年  同 高等看護学院 院長(兼)
     同 防衛医大医師会 会長(兼:~2022年)
2011年  同 腫瘍化学療法部 部長(兼)
2012年  同 看護学科設立準備室長(内局・兼)
2013年  同 医療情報部 部長(兼)
2015年  同 副院長(管理・運営)
2019年  退官

【所属学会】 
New York Academy of Sciences (NYAS):正会員(1997年~)
International College of Surgeons (ICS):Fellow(2002年~)
International Society of DOHaD:正会員(2020年~)
日本産科婦人科学会(功労会員)、日本産科婦人科内視鏡学会(名誉会員)、日本小切開・鏡視外科学会(代表理事)、日本外科系連合学会(Fellow、評議員)、日本女性骨盤底医学会(副理事長)、日本DOHaD学会(監事)、日本生殖医学会(功労会員)、日本女性栄養・代謝学会(名誉会員)、日本思春期学会(名誉会員)、日本女性心身医学会(名誉会員)、他

【専門医等】 
日本産科婦人科学会、日本婦人科腫瘍学会、日本生殖医学会、日本周産期・新生児学会、日本医師会認定産業医、母体保護法指定医、
The Best Doctors in Japan(2010~21、2024~25)、
Who's Who in the World(2005~2021)、他

【団体、等】
埼玉県総合医局機構(埼玉新都心) 研修企画アドバイザー
(法)日本子育て包括支援推進機構(JCRO) 理事
内閣府NPO WEBREIGO 理事
経産省・基準認証政策課:国際標準オリンピック(高校生選手) オブザーバー
丸山記念総合病院 非常勤医師
(独法)国立身体障害者リハビリテーションセンター病院 非常勤医師
日本薬科大学 非常勤講師、他

【賞罰】
2003年 第5回世界生殖補助技術会議学術奨励賞
2004年 第4回環太平洋生殖不妊学会学術奨励賞 
2009 年 埼玉県知事表彰(公衆衛生功績者)
2010 年 第17回総合リハビリテーション賞 (金原一郎記念医学医療振興財団)
「脊髄損傷女性の妊娠・出産に関する調査研究」(共同受賞)
2010年 埼玉県知事表彰(国民健康保険事業功績者)
2016 年 厚生労働大臣表彰(母子保健・家族計画事業功績者) 、他

【知財】
2005 年 実用新案登録 (第 3109974 号:特許庁)
「腹腔鏡下手術における注入吸引管の先端加工に関する工夫」

【趣味】
クラシック音楽鑑賞、将棋(日本将棋連盟三段)、写真、柔道初段 、他

photo_ikeda2.jpg
池田 剛
日本メドトロニック株式会社
ヘルスケアエコノミクス アンド ガバメントアフェアーズ シニアマネージャー

1994年慶應義塾大学法学部卒業後、化学メーカー・電子部品メーカーを経て2004年メドトロニック入社。人事、メドトロニックイノベーションセンターを担当の後、現職。グローバル医療機器メーカーにて行政機関や大学等ステークホルダーとの関係構築、業界団体活動等のアドボカシー活動を担当。

photo_shimono2.jpg
下野 誠通
横浜国立大学 工学研究院 准教授
総合学術高等研究院
次世代ヘルステクノロジー研究センター長

2007年9月 慶應義塾大学大学院理工学研究科総合デザイン工学専攻 博士後期課程 修了、博士(工学)取得
2007年4月~2008年3月 日本学術振興会 特別研究員
2008年4月~2009年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科
特別研究助教(グローバルCOEプログラム)
2009年4月~2013年3月 横浜国立大学大学院 工学研究院 助教
2014年4月~現在に至る  横浜国立大学大学院 工学研究院 准教授 
2016年4月~現在に至る 神奈川県立産業技術総合研究所
プロジェクトリーダー/グループリーダー兼務





メニュー