第3回 K2オープンセミナー《今を理解し未来を見る社会シミュレーション技術》〈終了〉
SNSからのトレンド予測にせよ,マーケティングにせよ,今後の経済動向にせよ,コロナ禍での感染者予測にせよ,我々が生きる実世界は様々な要因が複雑に影響し合う複雑系であり,未来を知るためには,過去のデータからの学習に基づく予測以上に,社会シミュレーション技術が重要である.そこで,SNS社会分析,コロナ感染対策,そしてMaaSを例として,社会シミュレーションの最新活用事例を紹介しつつ,技術の中身を概説するとともに,現在の社会シミュレーション技術に足りないもの,そして,今後どのように発展していくのかについて議論します.
プログラム概要
開催日時 | 2022年3月15日(火)13:30~15:30 |
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開催形式 | オンラインセミナー(Zoom ウェビナー) |
主催 | 川崎市(経済労働局) 、慶應義塾大学 新川崎 K2タウンキャンパス |
協力 | 公益財団法人 川崎市産業振興財団 、川崎信用金庫 |
オンラインセミナーチラシダウンロード |
COVID-19感染者数予測シミュレーションによる
ファクターXの特定
13:30~14:00
栗原 聡
慶應義塾大学 理工学部 教授
《概要》なぜ第5波は急速に収束したのかについては,確固たる理由が示されていないものの,シミュレーションではその収束が正確に予測できていた.このことは,シミュレーションによりファクターXが説明できることを意味する.さらに,シミュレーションにより第5波での真の重症化人数でさえも明らかとなった.このようなことを可能とするシミュレーション技術の中身を概説するとともに,シミュレーション技術の今後の展望を論じる.
公共交通の未来を設計する社会シミュレーション
-- Simulation for Social Design --
14:00~14:30
野田 五十樹
北海道大学大学院 情報科学研究院 教授
《概要》公共交通はこれからの地域社会全体の活動の方向性を決定づける社会基盤サービスの根幹の1つである。この公共交通には単に最適化だけでなく、全体のバランスを調整する大事な役割を担う必要がある。社会シミュレーションはその役割を評価し調整するための大事なツールである。その現状と可能性と紹介していく。
ゲーム理論を利用したソーシャルメディアの設計
14:30~15:00
鳥海 不二夫
東京大学大学院 工学系研究科 教授
《概要》FacebookやTwitterなど大規模なソーシャルメディアは現在社会において欠かせない社会基盤の一つとなっている.一方で一部の成功の陰に多くのソーシャルメディアサービスが利用されずにサービスを終えている現状がある.社会シミュレーションを用いてソーシャルメディアが活性化するために必要な要素を探る.
講師3名による座談
15:00~15:30
(栗原 聡 教授、野田 五十樹 教授、鳥海 不二夫 教授)
講演者プロフィール
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了.博士(工学).2021年4月より慶應義塾大学共生知能創発社会研究センター・センター長.NTT基礎研究所,大阪大学大学院情報科学研究科,電気通信大学大学院情報理工学研究科などを経て,2018年から慶應義塾大学理工学部教授.電気通信大学に国立大学では初となる人工知能先端研究センターを設立.(株)オムロンサイニックエックス外部取締役,(株)オルツ技術顧問,情報法制研究所上席研究員など.人工知能学会理事・学会誌・論文誌編集長などを歴任.自律分散システム,複雑ネットワーク科学,群知能・創発システムなどの研究に従事.著書「AI兵器と未来社会キラーロボットの正体」(朝日新書),翻訳「群知能とデータマイニング」(東京電機大学出版局),編集「人工知能学事典」(共立出版)など多数.
北海道大学 大学院情報科学研究院教授。株式会社未来シェア取締役。1992年、京都大学大学院工学研究科修了後、電子技術総合研究所、現在の産業 技術総合研究所に入所、研究官・主任研究員・研究チーム長・総括研究主幹として、人工知能・マルチエージェント技術の研究に従事。2021年より北海道大 学教授。博士(工学)。1994年よりロボカップの創立メンバーとして、シミュレーションリーグの立ち上げを行う。2014〜17年にロボカップ国際委員会プレジデ ント。2000年より防災情報システムの国家プロジェクトに参画し、防災情報システム、災害シミュレーション、避難シミュレーションに取り組み、現在も各 種社会シミュレーションの研究を展開している。2002年よりオンデマンド型公共交通のシミュレーションを開始、その研究の成果を元に2012年より実証実験 を開始し、その社会実装を目指して、2016年、未来シェア設立。2020年より人工知能学会会長。研究分野はマルチエージェント社会シミュレーション、機械学習、減災情報システム。
2004年,東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム工学専攻博士課程修了(博士(工学)),同年名古屋大学情報科学研究科助手,2007年同助教,2012年東京大学大学院工学系研究科准教授,2021年同教授. 計算社会科学,人工知能技術の社会応用などの研究に従事. 情報法制研究所理事.人工知能学会編集委員会副編集長.電子情報通信学会,情報処理学会,日本社会情報学会,AAAI各会員. 「科学技術への顕著な貢献2018(ナイスステップな研究者)」 主な著書に「強いAI・弱いAI 研究者に聞く人工知能の実像」「人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能」「計算社会科学入門」.