オープンセミナー「リアルハプティクスと未来社会」
2017年11月17日(金)13時30分~ 大西公平 慶應義塾大学 理工学部教授

2017.09.01

 人間の五感を通信伝送することは人類の長年の夢であった。19世紀に聴覚伝送がマルコーニ(伊)やベル(英→米)によって電話で可能になり、20世紀に視覚伝送がBBC(英)のテレビジョン放送により可能になった。これに続く第三のメディアとして力触覚を通信伝送する研究も長年行われてきた。
 
 そして2002年に慶應義塾大学において世界で初めて鮮明な力触覚を伝送する実験に成功し、リアルハプティクス技術としてその設計法が確立された。また、同大学において開発されたリアルハプティクス技術をシステムLSI化し、誰でも容易に使えるようにすることにも成功した。このLSIはABCコアと呼ばれ、詳細な設計論を意識せずとも、人のような柔らかい動作を人工機械で実現できるようになる。
 このようなロボット技術はソフトロボティクスと呼ばれる。また、このシステムLSIにより、実際の人間動作を信号として抽出、記録することも可能であり、これを運動設計や動作設計における参照値として用いることで、熟練者の技や伝承技能をロボットに転写することが可能になる。このように、リアルハプティクス技術はロボティクスのみならず一般的な運動設計論あるいは動作設計論へと拡張され、しかも開発技術者は短期間でその成果を容易に享受できる環境が整えられ応用分野が大きく広がろうとしている。
 例えばそれまでロボット化に成功しなかった悪環境下作業(重労働であり、しかも繊細な力感覚が必要な作業)をABCコアの実装された力触覚付きロボットで遠隔操作できるようにしたばかりではなく、熟練者の動作データを用いた無人操作にも成功した。土木建設分野、一般機械分野、ロボット分野、プラント計装分野、農業分野、自動車計装分野等でもABCコアが搭載された様々な試作機や実機が稼動し始めている。
本セミナーではこの未来技術が少子高齢化の進む日本にどのように役立つかを展望したい。

 

講師プロフィール
大西公平 慶應義塾大学 理工学部 教授
1980年東京大学大学院工学系研究科電気工学専門課程修了(工学博士)。
1996年より理工学部システムデザイン工学科教授。
2008年1月~2009年12月IEEE Industrial Electronics Society President.
2012年産学官功労者表彰(内閣府)、福澤賞などを受賞。
2014年10月より日本学術会議第3部会員。
2015年6月-2016年5月一般社団法人 電気学会 会長。
2016年11月秋の紫綬褒章受章。

セミナースケジュール

タイトル
産業界の新時代を拓くソフトロボティクス
リアルハプティクスと未来社会
講師
大西公平 慶應義塾大学理工学部教授
日時
2017年11月17日(金)
13:30~15:00 セミナー 無料(100名)
15:15~16:45  ビジネス交流会 500円(企業対象)
会場
慶應義塾大学 新川崎(K2)タウンキャンパス
K2ハウス 1F大会議室
主催
川崎市(経済労働局) 、慶應義塾大学 新川崎 K2タウンキャンパス
協力
公益財団法人 川崎市産業振興財団 、川崎信用金庫