K2Campus

産官学地域連携を目指して

真壁常任理事慶應義塾常任理事
真壁 利明

  慶應義塾大学には6つの教育研究キャンパスと2つのタウンキャンパスがあります。「新川崎(K2)タウンキャンパス」は慶應義塾が川崎市との協働のもとに開設している先端研究教育連携スクエアです。現在、K²(ケイスクエア)では13の研究プロジェクトが、また隣接する川崎市のインキュベーション施設(KBIC)では7研究プロジェクトが慶應義塾の教員研究者によって推進されています。小池康博教授が中心研究者として率いる内閣府最先端研究開発支援プログラムなど、最先端技術の産業化を狙う研究も多く、社会イノベーションに大きなインパクトを与える技術開発が一つの特徴です。K2は融合キャンパスの性質も持ち、矢上、藤沢、日吉、三田地区などから教員研究者や大学院生等が各研究プロジェクトに参加しており、K2キャンパスの登録者は400名を超えています。大学院生は研究を通したOJT教育に加えて、しっかりした講義体系のもとでの教育を受けることが基本です。昨年5月、理工学部が矢上キャンパスとK2間にシャトルバスの運用を開始し、学生達の教育・研究両面での利便性が高まりました。昨年度は延べ8,000名がこのシャトルバスを利用しました。
 新川崎駅近郊に位置するK2は開設以来12年目を迎え、周辺の整備は進み、木漏れ日のなかでの研究開発などその自然環境も整ってきました。同時にK2が地域に向けて行うオープンキャンパスや子供向けのセミナーなども年中行事になっています。川崎市によるナノ・マイクロ関連の研究と開発を中心とした産官学共同研究施設(クリーンルーム棟を含む)の建設が隣接地に予定されるなど、「新川崎・創造のもり」はサイエンスパークとして発展し続けています。
 人類の持続可能性に向けた地球環境の再生はもとより、省エネルギー時代を生きてゆく文明を創りだしていくためには、学問を純粋に探求する力とともに、学術を融合する文化の醸成や、技術移転の重視、地域の力などが欠かせません。換言すれば、産・官・学・地域が一体となって、それぞれの強みを統合し連携したかたちで、真の意味での「質の高い研究」を推進し、この成果を社会に還元してゆくことが求められています。こうした観点から、新川崎(K2)タウンキャンパスに寄せられる期待は大きく、キャンパスのより一層の発展が望まれるところです。  産官学地域連携の拠点としての活動を支援、協働いただいております川崎市をはじめ、関係者各位に深く感謝するとともに、新川崎(K2)タウンキャンパスが今後も発展し社会に貢献し続けることを強く願う次第です。

新川崎タウンキャンパスおよび新川崎先端研究教育連携スクエアとは

K2Campus  「新川崎タウンキャンパス」、通称「K2(ケイスクエア)タウンキャンパス」は、川崎市との協定に基づき、産官学連携による研究開発の拠点形成を目的に、2000年4月に開設されました。 「K2」 は、慶應義塾(K)と川崎市(K)が協力し、2乗の効果を生み出すことを意味しています。
 分野横断的な最先端の研究に重点をおくキャンパスとして、翌2001年4月には、「新川崎先端研究教育連携スクエア」が設置されました。「先端的研究の推進」、「新産業・新事業の創出」、「社会・地域への貢献」という相互に関連する3つの理念を柱として、時代を切り拓く様々な研究活動が展開しています。
 2009年11月、慶應義塾と川崎市はこれまでの協力関係を発展させ、新たに「連携・協力に関する基本協定」を締結しました。同じ創造のもり地区に設置されている「かわさき新産業創造センター(KBIC)」では、義塾から7つのプロジェクトが事業化を目指して研究活動を続けており、既に複数の大学発ベンチャーが誕生しています。

◆ 先端的研究の推進

 「グリーン社会ICTライフインフラプロジェクト」(文部科学省 科学技術戦略推進費)、「アクセス空間支援基盤技術の高度国際連携プロジェクト」(同省グローバルCOEプログラム)、「世界最速プラスチック光ファイバーと高精細・大画面ディスプレイのためのフォトニクスポリマーが築くFace-to-Faceコミュニケーション産業の創出プロジェクト」(平成21年度内閣府最先端研究開発支援プログラム事業(略称FIRST))をはじめとして、未来社会を拓く先端的な研究が推進されています。

◆ 新産業・新事業の創出

  各研究プロジェクトが生み出す様々な研究成果を、企業や団体等が有する資源やニーズと連携させることで、新たな技術や産業を創出することを目指し、川崎市および関係機関と協力して「企業ビジネス交流会」を開催しています。また、技術展示会等に参加するほか、KBICと協働することで、研究成果を事業化する可能性を探っています。

◆ 社会・地域への貢献

 川崎市との連携のもと、市民や地域企業を主な対象として、オープンキャンパスやオープンセミナーを開催し、研究成果を広く紹介するとともに、科学技術に関する学習の機会を提供しています。多方面からの見学を受け入れるほか、塾内外の組織や団体と協力して、地域児童や中学生を主な対象に、科学の面白さや楽しさを体感できるイベントやセミナーを実施しています。